保育士における腰痛~改善・対策編~

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がじゅまる整骨院の加藤です。自己紹介【加藤由基】

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前回は【保育士における腰痛】を紹介しました。

保育士における腰痛

今回は【保育士における腰痛~改善・対策編~】をご紹介したいと思います。

 

中腰は危険です!

発病の契機として中腰関連動作が79.5%と圧倒的であった。¹⁾

中腰や前かがみの姿勢が多い保育士は、椎間板の圧縮負荷の増大やそれに伴う椎体終板の骨折、さらに体幹伸筋の過活動及び筋疲労の発生により、腰部の柔軟性が低下や腰痛の悪化が考えられる。²⁾

ベッド上介助作業で、体幹を前屈させた状態による作業の結果、脊柱起立筋群には屈曲により筋が引っ張られることにより、筋活動をしなくなる屈曲ー弛緩現象(以下FRPとする)が考えられる。³⁾

FRPは筋活動をしなくなるが、実際には骨・靭帯。腱などに張力やせん断力が加わり、それによって支えられる結果から、作業者の人体への悪影響が考えられる。さらに脊柱には椎間板がありその椎間板への悪影響が考えられる。³⁾

⇒中腰は腰の負担が大きく痛めやすい

「ボディメカニクス」の基本は、①支持基底面積を広くする②重心を低くする③対象に近づく④てこの原理を使う、⑤大きな筋群を使う⑥対象を小さくまとめる⑦水平に引くという 7 つである。⁴⁾

重い物を持ち上げる動作をする時、ヒトは物にできるだけ近づこうとするためしゃがむ(②重心を低くすると③対象に近づく)。そうしなければ、より大きな力が必要になり、腰を痛める要因にもなる。またしゃがむことで立位姿勢よりも歩幅を拡げるため、姿勢も安定することになる(①支持基底面積を広くする)。さらにしゃがんでから立ち上がるため、腰部や上腕などの筋群ではなく、大腿部の大きな筋群を使用することになる(⑤大きな筋群を使う)。⁴⁾

⇒姿勢・動作を意識し気を付けることで腰痛の予防になる

子供たちと触れ合う際に「手間・面倒だから」と中腰姿勢を、繰り返さないように注意しましょう!

×   

 

運動量

身体活動量を歩数でみると、6名中5名が1万歩を超えていたが、一日の目標活動量 (300kcal)を超えるものは3名であり、平均的に活動強度が低いことがわかった。⁵⁾

保育活動中の活動である程度の運動量が確保されているものと予測していたが、実際には子どもとの活動での運動量はそれほど高いものではなかった。⁵⁾

⇒お仕事中に1日平均1万歩も歩いているが、腰痛を防ぐための活動としては不十分な可能性がある

 

柔軟性

腰痛の悪化をアウトカムとし、経時的な体力指標の変化量との関連を調べた結果、立位体前屈の値の減少が腰痛の悪化の要因として関連していた。²⁾

本研究では、立位体前屈の値、すなわち指床間距離(Finger Floor Distance:以下 FFD)が時間の経過と共に低下するほど腰痛が悪化することを見出した。²⁾

腰部周囲筋の柔軟性の低下は腰痛に関連しており、この柔軟性の低下、つまり「変化」が腰痛の悪化に関連していることが推測され、本研究結果である FFD の変化と腰痛の悪化との関連は支持される。²⁾

⇒股関節や背部の筋肉が固まると腰痛になりやすい

お尻のストレッチとリリース(ボール)

 

もも裏のストレッチ

(自宅や休憩時間があれば、少しでもできるかもしれません。習慣的に行うことが重要です。1ポーズ30秒の時間はありますか?

 

筋力

筋力と腰痛に関連があることは常識となっており、現在、腰痛軽減に効果のある治療について多くの研究が行われている。したがって、腰痛の悪化を予防するためには、先述したような、脊柱起立筋やハムストリングスのストレッチング、股関節内旋外旋運動、そして体幹筋力の強化を行うべきだと考えられる。²⁾

⇒筋力が落ちると腰痛になりやすい

幼稚園教諭は子どもの目線に立っていろいろな保育活動や援助を行っているため、必然的に自体重の上下動が多くなってしまう。そのため、腹背筋への負担が大きくなり腰痛を引き起こすことが考えられる。⁵⁾

⇒子供に目線を合わせるためのしゃがんだり立ったりの連続は痛みにつながる可能性がある

ドローインやバードドッグといった安定化エクササイズを行った。それと並行し、表在筋の高緊張によるパターンを修正するため、脊柱起立筋に徒手的横断マッサージを行った。姿勢や動きのパターンを修正する介入として、腰椎中間位を意識し、座位や四つ這い姿勢を保持する練習を行った。その後、中間位を保持したまま、起立着座訓練や四つ這いでの後方への揺り動かしなどを行った。⁶⁾

深部筋トレーニングと表在筋のストレッチにより体幹筋群のインバランスが改善したこと、腰痛の説明と指導により本人が中間位姿勢を認識できたことで、疼痛の軽減が得られたと考えられる。⁶⁾

⇒体幹や股関節周囲は特に鍛える必要がある

⇒姿勢を良く保つためにも体幹が重要

ドローイン(体幹強化)

①背筋を伸ばす ②お腹を凹ませる ③お尻の穴を閉めることで体幹のインナーマッスルを鍛えましょう。【立った姿勢でも行えます】

クラムシェル(股関節のインナーマッスル強化)

   

 

まとめ

今回は【保育士における腰痛~改善・対策編~】について紹介していきました

・中腰姿勢に注意【姿勢】

・お仕事での活動だけでは不十分な可能性⇒運動とストレッチの習慣を

・筋肉を鍛えて・コリのない体を作ることで腰痛の予防につながる

 

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がじゅまる整骨院院長(加藤由基)

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参考文献

1)芝啓一郎/栗原章/金田清志 他,勤労者腰痛疾患の実態と社会復帰に関する前向き調査(第2報),日本職業・災害医学会,日本職業・災害医学会会誌51 (4), 298-306, 2003-07

2)吉丸優希/村山進夢/蛭田秀一 他,体力指標を用いた腰痛悪化因子に関する縦断的研究,名古屋大学総合保健体育科学センター,総合保健体育科学 40 (1), 15-20, 2017-06-30

3)上田喜敏/藤澤正一郎,おむつ交換時のベッド高の違いによる作業負担について,一般社団法人 日本人間工学会,人間工学2016年52巻Supplement号p.S138-S139

4)社会福祉専門職(保育士・介護福祉士)の身体的な負担軽減についての一考察─バイオメカニクスの応用を射程に─,文教大学,生活科学研究38 231-236, 2016-03-30

5)島崎 あかね,幼稚園教諭の身体活動量について~ある 1日の保育時間中の分析~,上田女子短期大学,上田女子短期大学幼児教育学科保育者養成年報4 44-54, 2008-03-31

6)飯塚雄亮/三木貴弘/本間久嗣 他,非特異的腰痛に対してSTarT Back Screening ToolとO’Sullivan Classification Systemを組み合わせたstratified careを用いて介入を行い奏功した一症例,日本徒手理学療法学会,徒手理学療法2020年20巻2号p.41-48