保育士における腰痛

いつもご覧いただきありがとうございますm(_ _)m

がじゅまる整骨院の加藤です。自己紹介【加藤由基】

BC-bodyでは【予防医学】の観点から

いつまでも自分の足で歩き続けることができる身体づくりを提供いたします。

 

今回は【保育士さんの腰痛】をご紹介したいと思います。

保育士の患者様から「最近周りで腰を痛める人が多いんです。動くのも痛そうで辛そう」とお聞きしたのもあり、まとめていきます。

子育てをされていて、腰痛に悩んでいる方にも役立つことができたら嬉しいです。

 

現状

保育園に勤務する保育士においては、約30年以前から、腰痛や頸肩腕障害など筋骨格系疾患が多発していることが報告されてきた。¹⁾

回収された342通(回収率26.9%)から、女性のみ333名の回答を分析した。その結果、腰痛は85.5%、頸控訴症状は75.9%に既往があり、ここ1か月においては、少なくとも1日以上痛みを感じている人が腰痛、頸肩身症状ともに約60%だった。²⁾

ここ1か月の腰痛および頸肩腕症状の頻度を年代別に図2に示した。腰痛62.0%・頸肩腕症状61.2%と、約6割の者に症状がみられ、全く症状がない者は少なかった。²⁾

既往「あり」で腰痛「あり」の者18名(85.7%)、既往「なし」で腰痛「あり」の者22名(44.9%)であり、両者を比較し検定した結果、既往「あり」の者に腰痛が有意に多かった。⁾工藤 身体的苦痛

⇒保育士の80%ほどは腰痛で悩んだ経験があり、悩んでいる人が多い

腰痛・頸肩腕症状ともに既往のない者は6.7%、両方の既往がある者は68.5%であった。腰痛はすべての年代で既往のある者が80%を超えていたが、頸肩腕症状では年齢が高くなるほど既往者の比率が高く年齢による有意差(p<.05)がみられた。 症状の発症時期は、腰痛では90.0%、頸肩腕症状84.3%が「保育の仕事について以降」に発症していた(p<.001)。²⁾

⇒保育士になってから腰痛になる人が90%

1.身体的苦痛で訴えが最も多いのは「腰痛」71.9%、次いで「肩こり」70.2%であった。2.苦痛の原因となる保育施設・設備は「保育室」「乳児室」「トイレ」「手洗い場」に、保育活動は「抱っこ」「立位・座位の繰り返し」「前かがみ」「中腰」に集中していた。3.整形外科疾患の既往「あり」の者に有意に腰痛が多かった(p=0.0016)。4.3歳未満児を受け持つ保育士は、「腰痛」(p=0.0084)「目の疲れ」p=0.0420)「膝関節痛」(p=0.0014)「頭痛」(p=0.0433)「腕の痛み」(p=0.0018)を訴える者が有意に多かった。³⁾

「保育室」「乳児室」については、9項目全ての保育活動で「腰痛」の訴えがあり、「前かがみ」「中腰」での保育活動は、ほぼ全ての保育施設・設備において「腰痛」の訴えがあった。³⁾

「腰痛」の訴えが最も多い保育施設・設備及び保育活動は「乳児室の抱っこ」33名(80.5%)³⁾

⇒痛めやすい環境や姿勢・動作がある

 

多い姿勢と動作

幼稚園教諭では、立位時間が勤務時間の約半数を占め、しゃがみ・膝立ちなど不安定姿勢も約2割の時間、観察された。¹⁾

⇒50%が立って行う仕事で、しゃがんだり膝立ちなどが2割

「腰痛」「肩こり・首の痛み」「膝関節痛・股関節痛」「腕の痛み」の原因となる保育活動は、「抱っこ」・「立位・座位の繰り返し」・「前かがみ」・「中腰」の4項目に集中して訴えている傾向がみられた。³⁾

受け持ち児の年齢を3歳未満児と3歳以上児に分類し、11項目の身体的苦痛「あり」「なし」でクロス集計し、両者を比較し検定した結果、3歳未満児を受け持った者に有意差が認められた。³⁾

⇒痛みの原因は、「抱っこ」・「立位・座位の繰り返し」・「前かがみ」・「中腰」の4項目に集中

 

抱っこ

「抱っこ」の一日の回数の回答者は33名(45.8%)であり、2~300回で平均44.8±73.6回であった。⁴⁾

「抱っこ」の年齢も0~1歳に集中し、体重10~ 20kg前後ある一人歩きもままならない状況の児の「抱っこ」を一日平均45回以上も行っており、腰背部及び肩・首周囲の筋肉の疲労が予測される。⁴⁾

⇒10~20㎏の園児を、1日で45回(平均)抱っこをしている可能性がある

「抱っこ」の回数を「平均未満」群と「平均以上」群に分類した。「平均未満」の者26名(78.8%)、「平
均以上」の者7名(21.2%)であった。腰痛の有無でクロス集計した結果、「抱っこ」の回数では「平均未満」群に腰痛「あり」の者が多い傾向がみられた。⁴⁾

「平均未満」の者の方が腰痛が多い傾向だったのは、「抱っこ」の時の姿勢や姿勢変換の仕方が「抱っこ」の頻度よりも腰痛発生に影響している可能性があると考えられる。⁴⁾

⇒抱っこの頻度と合わせて、抱っこ時の姿勢に気を付けることが重要

片腕での抱っこ

「片腕による抱っこ」は特に腰痛を引き起こす原因となると考えられる。⁴⁾

「抱っこ」の腕の方向を「片腕抱き」群と「両腕抱き」群に分類した。「片腕抱き」の者45名(75.0%),「両腕抱き」の者15名(25.0%)であった。腰痛の有無でクロス集計した結果、「片腕抱き」群に腰痛「あり」の者が多い傾向がみられた。⁴⁾

「抱き上げる時のこどもの姿勢」を「寝ている」「座っている」「立っている」群に分類した。「抱き上げる時のこどもの姿勢」と保育士の腰痛はあまり関連がなかった。⁴⁾

⇒両腕抱きに比べて片腕抱きは腰痛になりやすい

 

おむつ交換

「おむつ交換」の一日の回数の回答者は37名(51.4%)であり、2~135回で平均38.1±26.9回であった.⁴⁾

⇒おむつ交換を、1日38回(平均)している可能性がある

「おむつ交換」の一日の回数を「平均未満」群と「平均以上」群に分類した。「平均未満」群22名(59.5%)、「平均以上」群15名(41.5%)であり、腰痛の有無でクロス集計した結果、「平均未満」群に腰痛「あり」の者が多い傾向がみられた。⁴⁾

「おむつ交換」の場所を「床」群と「床以外」群に分類した。「床」群41名(68.3%)、「床以外」群19名(31.7%)であり、腰痛の有無でクロス集計した結果、「床」群に腰痛「あり」の者が多い傾向がみられた。⁴⁾

⇒床でおむつ交換をすると腰痛になりやすい

本研究の実態による「おむつ交換」の姿勢「座っている」はまさしく筋負担につながると考えられる。頻度よりもこのような姿勢での「おむつ交換」をする事が腰痛発生の原因になっていると考えられる。⁴⁾

⇒おむつ交換も、頻度と合わせて姿勢が重要

 

改善・予防の為には

腰の痛みや頸肩腕の痛みやしびれは、個入的な対応のみならず量的・質的過重負担を減らす努力を図ること、職場での腰痛体操の実施の徹底を図ることも求められるだろう⁵⁾

腰痛および頸回腕症状の軽減・防止には職場の組織や人間関係を良好に維持しつつ、保育士の仕事の質的・量的負担を軽減するように労働環境の改善を進めると同時に、家庭でのくつろぎの時間が確保できるように労働条件を見直すことが必要・不可欠である。²⁾

保育活動「抱っこ」「おむつ交換」では、頻度に関わらず腰痛・肩こりが出現し、また、「片腕抱き」・「床でのおむつ交換」等の方法が影響している事から、今後は「保育活動の姿勢による筋疲労」に着目し、筋疲労を最小限にする改善対策が重要である事が示唆された。⁴⁾

⇒運動をすること・姿勢や動作を意識すること(体の負担を減らす工夫)・心と体を労わることが必要になる

 

まとめ

今回は【保育士における腰痛】について紹介していきました

80%が腰痛で悩み、保育士の仕事を始めてから腰痛になる方が90%いる

痛みの原因は、「抱っこ」・「立位・座位の繰り返し」・「前かがみ」・「中腰」の4項目に集中

運動をすること・姿勢や動作を意識すること(体の負担を減らす工夫)・心と体を労わることが必要になる

 

ここまでご覧いただき本当にありがとうございましたm(_ _)m

この記事を書いた人↓↓

がじゅまる整骨院院長(加藤由基)

BCスクールについてはこちら⇓⇓⇓の画像をクリック‼

 

いつもお問い合わせいただきありがとうございますm(_ _)m

参考文献

1)城憲秀/榎原毅/武山英麿 他,幼稚園教諭における作業負担ータイム・スタディの結果から,人間工学会,日本人間工学会第48回大会,2007

2)磯野富美子/鈴木みゆき/山崎喜比古,保育所に勤務する保育士の職場環境と腰痛および頸肩腕症状との関連,日本小児保健協会,小児保健研究66 (6), 789-796, 2007-11

3)工藤恭子/笹木葉子,保育士の保育活動による身体的苦痛の実態調査,北海道文教大学,北海道文教大学研究紀要2011年3月25日

4)工藤恭子,保育活動「抱っこ」「おむつ交換」と腰痛・肩こりとの関連-方法・頻度に着目して-,北海道文教大学,北海道文教大学研究紀要2014年3月15日

5)善光彩子/磯野富美子/山崎喜比古 他,保育士における腰痛症・頸肩腕症状とメンタルヘルスの関連要 因,公益社団法人 日本産業衛生学会,産業衛生学雑誌47 巻 Special 号 p. 335-,2005