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がじゅまる整骨院の加藤です。自己紹介【加藤由基】
BC-bodyでは【予防医学】の観点から
いつまでも自分の足で歩き続けることができる身体づくりを提供いたします。
今回は【胸郭の動きが悪くなると腰痛になりやすい】についてです。
胸郭の動きが悪くなると腰痛につながる
胸骨、肋骨、胸椎から構成される胸郭では可動性が要求され、胸郭における可動性の低下は腰椎に対する安定性の低下を引き起こすことで腰痛発症の要因となり得る。特に、体幹の伸展運動や回旋運動において、胸郭における可動性は重要となる。¹⁾
変形性股関節症患者に発症する腰痛に対し、胸椎可動性減少が影響因⼦となる可能性が⽰唆された。²⁾
腰椎変性疾患を対象とした本研究においても、胸郭柔軟性と腰下肢痛との相関関係が示された。³⁾
⇒胸郭の動きが悪くなると腰痛につながりやすい
体幹が衰えて腰椎が不安定になると腰痛になりやすい
腰椎の安定性が低下すると、肋骨に付着する腹直筋や内・外腹斜筋といった腹筋群や脊柱起立筋などの背筋群にStiffnessが生じることで、胸郭の可動性低下を引き起こす。これらの結果として、胸郭における可動性や腰椎における安定性といった本来関節が有する機能が破綻することで、腰椎の椎間関節や関節突起間部,腰部脊柱起立筋といった組織に対するメカニカルストレスの増大に繋がり、腰椎椎間関節障害や腰椎分離症、筋・筋膜性腰痛といった腰部障害が引き起こされる可能性がある。¹⁾
⇒腰椎が不安定になると、腹筋や背筋が硬くなりやすく胸郭の動きを悪くしてしまう
腰痛者は健常者に比べ L5/S1の腰椎回旋可動域およびL1~S1の全腰椎回旋可動域が有意に大きい値を示した。〔結語〕腰椎回旋可動域の増加、特にL5/S1の回旋可動域の増加が腰痛と関与している可能性がある。⁴⁾
⇒腰椎を過度に動かしすぎてしまうと腰痛につながりやすい
胸郭の可動性低下を伴い腰痛を呈したアスリートでは、体幹筋機能低下による腰椎の安定性低下が併発して見られることが多い。腰椎の安定性が低下した状態で胸椎伸展や回旋エクササイズを実施しても、本来有している胸椎可動性を発揮することは困難である。それだけに留まらず、腰椎における代償動作に繋がることが予想される。¹⁾
⇒胸郭の動きが悪くなっている場合、腰椎の不安定性も同時に起きていることが多いため体幹を鍛えて胸郭の運動をする必要がある
加齢による筋力の低下と腰痛の関係
四肢筋量、体幹筋量ともに年齢と有意に関連しており(p<0.001)、高齢者ほど筋量が少ない結果であった(図1)。四肢筋量は30歳代から直線的に低下していくのに対し、体幹筋量は60歳代までは低下が緩やかであるが、70歳前後より低下が加速していた。続いて体幹筋量とODIとの関係をみると、体幹筋量はODIと有意に関連(p<0.001)しており、体幹筋量が少ないほどODIは悪化していた⁵⁾
⇒加齢により筋肉は衰えやすい
⇒30代から手足の筋力は直線的に衰えやすい
⇒体幹の筋力は60代まで緩やかに低下し、70歳ころから加速的に衰えやすい
さらに、体幹筋量が一定の値(約23kg)を下回ったあたりからODIの悪化が加速していた。同様に、体幹筋量は腰痛VASとも有意に関連(p<0.001)し、体幹筋量が少ないほどVASが高く⁵⁾
⇒体幹の筋力が低下しているほど、腰痛がひどくなりやすい
体幹筋量は腰痛や身体機能、脊柱アライメントと関連しており、体幹筋量がある一定の値を下回ると腰痛や機能障害、脊柱変形が急速に悪化する可能性がある。⁵⁾
⇒体幹の筋力は姿勢・腰痛と関係している
前屈の柔軟性と腰痛の関係性
小中学生野球選手764名を対象に、FFDとSLRを測定し、腰痛と関連する基準値を分析した。また、立位体前屈にて床に手指がつくか否かを選手自身で評価し、腰痛との関連性を分析した。
腰痛の割合は、FFD0.9cm未満(未満29.2%、以上19.4%)、非投球側SLR70°未満(未満24.5%、以上17.2%)、および立位体前屈にて床に手指がつかない選手で有意に多かった(つかない28.2%、つく20.6%)(いずれもp<0.05)。⁶⁾
⇒前屈動作が硬いと腰痛につながりやすい
後屈動作と腰痛の関係性
後屈時に胸腰椎の生理的彎曲を作り出せないことが腰痛発生の一要因であることが示唆された。また、後屈時腰痛の要因として、骨盤前傾角度もしくは胸椎後弯角度の減少が大きく関与していることが示唆された。⁷⁾
⇒反る動作で、弓なりで綺麗に動けないと腰痛が出やすい
座り姿勢と腰痛の関係性
意識的または無意識的な端座位姿勢において腰痛有訴者が非有訴者より骨盤後傾する要因として、腰痛有訴者の背筋持久力の低下による骨盤後傾位での動作が習慣化され偏位した姿勢アライメントが構築されるためと推測される。さらに骨盤後傾は下部脊椎を固定化し上部脊椎に左右不均衡な運動を強いらせ、その偏位した姿勢が意識的な端座位において腰痛有訴者の体幹側屈を誘発したと推察される。以上より、意識的に正しいアライメントでの座位保持能力の向上を図ることは腰痛有訴者に対し有効な治療手段の一つとした。⁸⁾
⇒腰痛がある人の座り姿勢は、骨盤が後傾していることが多い
まとめ
今回は【胸郭の動きが悪くなると腰痛になりやすい】について紹介していきました
・胸郭の動きが悪くなると腰痛につながりやすい
・胸郭の動きが悪くなっている場合、腰椎の不安定性も同時に起きていることが多いため体幹を鍛えて胸郭の運動をする必要がある
・体幹の筋力が低下しているほど、腰痛がひどくなりやすい
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参考文献
1)笠舛拓也/西良浩一,アスリートの腰痛を胸郭からみる―Joint by Joint Theory に基づく評価と治療,一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会,Journal of Spine Research2024年15巻6号p.860-868
2)⼩池教⽂/⾼⼭真希/⾦原⼀宏 他,胸椎可動性減少が変形性股関節症患者の腰痛と関連する,一般社団法人 日本運動器理学療法学会,運動器理学療法学2024年3巻2号p.67-75
3)小坂健二/森脇崇/神澤佑哉 他,前胸部柔軟性テストの腰椎変性疾患への臨床的応用,一般社団法人 日本運動器理学療法学会,運動器理学療法学2022年2巻Supplement号p.P-161
4)安田透/Sirinda Jaotawipart/来間弘展,腰痛の有無による体幹回旋時の腰椎回旋可動域の比較 ~MRIを用いた検討~
5)堀悠介/星野雅俊/中村博亮,体幹筋の臨床的意義,一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会,Journal of Spine Research2020年11巻6号p.883-889
6)浦山樹/丸山真博/原田幹生 他,小中学生野球選手における腰痛と体幹・下肢柔軟性との関連―セルフチェックとしての立位体前屈の有用性―,一般社団法人 日本整形外科スポーツ医学会,日本整形外科スポーツ医学会雑誌2020年40巻3号p.389-394
7)上野倫史/宮入あや/亀山顕太郎,坐位での体幹後屈時における胸椎後弯角度について 腰痛群とコントロール群の比較,日本理学療法士協会第45回日本理学療法学術大会 抄録集,2010
8)篠塚晃宏/飛永浩一朗/井手睦,腰痛有訴者と腰痛非有訴者の端座位における体幹・骨盤肢位と体幹筋持久力の比較,日本理学療法士協会,第51回日本理学療法学術大会 抄録集,2016