筋膜の働き

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がじゅまる整骨院の加藤です。自己紹介【加藤由基】

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前回は【筋膜とは?】について書いていきました。

筋膜とは?

今回は【筋膜の働き】をご紹介したいと思います。

役割

筋膜の機能には血管や神経およびリンパ管を支持する他にそれらを通過させているという非常に重要な機械的機能がある。筋膜のねじれは、筋や血管、神経にも影響を与え¹⁾

⇒筋膜は、血管・神経・リンパの通り道としても重要

⇒筋膜に異常が起こると、血管・神経・リンパにも悪影響を及ぼす

²⁾

筋への過負荷による筋緊張亢進は毛細血管を圧迫し、酸素の供給不足を引き起こす。さらには、末梢部位に発痛物質であるブラジキニンや痛覚増強物質であるプロスタグランジンの産生を促し、これらの物質はポリモーダル受容器を興奮させ痛みを発現したり助長したりする。³⁾

⇒血管を圧迫して酸素が不足すると、痛みにつながる

もしも、過用や不良姿勢、運動不足などで筋の活動が偏ったり、減ってしまうと、筋膜がねじれたりよじれることになります。この筋膜は全身を14通りに配列で包み込んでいますが、そのどれかの配列に沿って、広い範囲で筋膜の機能異常を生じ、その下にある筋の働きが衰えるのです。筋膜機能異常は、筋膜の高密度化・基質のゲル化・ヒアルロン酸の凝集化からなります。この機能異常を解消すれば、 1 本 1 本の筋線維がアイロンを掛けたようにキレイな自由な状態に戻り、そのことで疼痛の改善、筋出力・柔軟性の改善、運動麻痺の改善、日常生活活動や運動のパフォーマンスの向上へとつながっていきます。そして、キレイな颯爽とした姿勢や動きが取り戻せるのです。⁴⁾

⇒悪い姿勢・使いすぎ・運動不足は筋膜に異常をきたす

⇒筋膜機能異常は、ねじれたりよじれたりゲル化する

【ゲル化】のイメージとしては、はちみつです。

     ⇓

さらさらの液状が、冬場はカチコチの固体状になる

筋膜の高密度化は、関節受容器を刺激して、関節に痛みを発生させる。⁵⁾

⇒筋膜の異常は、痛みを引き起こす

全身への影響

人は成長にしたがい、筋・筋膜のインバランスが生じ、さらに障害や外傷の既往からそのインバランスが複雑化する。左肩関節屈曲制限が、右足部の治療から開始して治る。このことは筋・筋膜のインバランスに着目すれば近い可能となる。⁶⁾

⇒筋膜は全身を包むため、足首を治療することで肩の不調が改善することもある

⁷⁾

胸腰筋膜

広背筋、下後鋸筋、脊柱起立筋、外腹斜筋、腹横筋、内腹斜筋などは胸腰筋膜を介して骨や靭帯に付着している。従って、これら骨格筋の収縮によって胸腰筋膜は張力を受けることになる。⁸⁾

⁸⁾

大殿筋は起始部である腸骨の恥骨翼外面で後殿筋線の後方、仙骨の外側、尾骨の外側縁、胸腰筋膜、仙結節靭帯から停止部である腸脛靭帯、大腿骨の殿筋粗面にかけて幅広く走行している。支配神経は下殿神経(L4 ~ S2)である。また、起始部では胸腰筋膜を介して広背筋や最長筋、多裂筋、対側の大殿筋と筋連結しており、殿筋膜を介して中殿筋と筋連結している。停止部では大腿二頭筋、小内転筋、大内転筋、外側広筋と筋連結しており、また腸脛靭帯を介して大腿筋膜張筋との筋連結が報告されている⁹⁾

⇒背筋・腹筋・股関節周囲筋は胸腰筋膜を介している

胸腰筋膜は上肢と下肢を背部で結びつける中心となると同時に、腹壁を構成する構造物を背部にしっかりと固定する役割を持つことになる。従って、上肢や下肢、腹壁や背部の過度なあるいは偏った運動は全て胸腰筋膜の緊張を高めることになる。⁸⁾

⇒胸腰筋膜は、上肢と下肢を背部で結びつける中心となる

腰痛と筋膜の関係性

研究に対して、同意を得られた男性51名(22.9±4.0歳)を対象とした。まず、腰痛評価表にて、腰痛に対する問診・アンケートを行い、腰痛にて受診経験のある群(以下、A群)、ときどき腰痛を認めるが受診経験のない群(以下、B群)、腰痛を経験したことのない群(以下、C群)に分類した。¹⁰⁾

腹横筋先端の移動距離の変化量は、左側:A群2.0±1.6mm、B群5.1±2.3mm、C群5.1±1.7mm、右側:A群2.5±2.3mm、B群5.2±2.2mm、C群6.0±1.9mmであり、両側ともにA群に対し有意差を認め、いずれも低値を示した。¹⁰⁾

本研究の結果、B群およびC群では腹横筋の収縮(筋厚増加)に伴い筋・筋膜移行部の移動距離も大きくなり、胸腰筋膜は側方に引かれた。しかし、A群では、腹横筋の収縮(筋厚増加)に伴う筋・筋膜移行部の外側方向への動きが低下していた。この要因として筋膜自体の可動性の低下が考えられる。つまり、腰痛にて受診経験のある群では、腹横筋の収縮がみられても、胸腰筋膜を外側へ引くことができず、筋膜を介した脊椎の分節的安定性を得ることができない可能性が示唆された。¹⁰⁾

胸腰椎の過屈曲で代償した座位姿勢は、腰部多裂筋の持続収縮に加え筋膜の伸張を惹起し、筋内圧はさらに高まる結果となる。つまり、座位時の腰痛を訴える症例に有意に認められた体幹屈曲時痛や多裂筋の圧痛は、一種の慢性コンパートメント症状と考えると臨床所見との整合性が得られるところである。¹¹⁾

⇒胸腰筋膜に異常があると、腰痛につながりやすい

腹横筋・多裂筋と胸腰筋膜の関係

腹横筋は、深部(中心部)に位置し脊椎分節を安定させるローカル筋システムに分類され、後方では胸腰筋膜に、前方では腹部筋膜に停止し、その筋膜系を介して腰椎骨盤の安定性に影響を与える。また、胸腰筋膜の中層の線維は腰椎横突起に収束し、椎骨の動きは筋膜の長さの変化に関係し、筋・筋膜移行部を外側方向に引く(緊張増加)ことで前額面上の運動をコントロールする。この胸腰筋膜の緊張には腹横筋の収縮が関与する。¹⁰⁾

自動組織である腹横筋と多裂筋の同時収縮と他動組織である腰椎骨盤領域を囲む胸腰筋膜との間に形成される深部の筋-筋膜のコルセットが機能することにより腰椎骨盤領域の安定性が向上する。腹横筋が両側性に収縮すると同時に、後方の腰部多裂筋が等尺性に収縮することにより胸腰筋膜を緊張させることができる。¹²⁾

⇒腹横筋・多裂筋が働くことで、胸腰筋膜の緊張が高まり腰回りの安定性が向上する

 

まとめ

今回は【筋膜の働き】について紹介していきました

筋膜は、血管・神経・リンパの通り道としても重要

筋膜の異常は、痛みを引き起こす

胸腰筋膜に異常があると、腰痛にもつながりやすい

筋膜は全身を包むため、足首を治療することで肩の不調が改善することもある

 

次回は【筋膜と疾患】について書いていきます。

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がじゅまる整骨院院長(加藤由基)

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参考文献

1)竹井仁,Myofascial Release(筋膜リリース),理学療法科学学会,理学療法科学2001年16巻2号p.103-107

2)竹井仁,ビジュアル版 筋肉と関節のしくみがわかる事典,西東社,2013

3)鈴木 重行,筋 ・筋膜性腰痛に対する運動療法の効果・検証,日本理学療法士協会,理学療法学,2004年31巻4号p.271-276

4)竹井仁,筋膜リリース―臨床応用に向けて―,日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会第37回関東甲信越ブロック理学療法士学会,2018

5)竹井仁,軟部組織に対する徒手理学療法,,一般社団法人日本理学療法学会連合,理学療法学2012年39巻 4号p.269-272

6)竹井仁,筋膜マニピュレーション─理論的背景と評価および治療方法─,一般社団法人日本理学療法学会連合,理学療法学2015年42巻8号p.757-758

7)トーマス・W・マイヤース 著,板場英行/石井慎一郎 訳,アナトミー・トレインー徒手運動療法のための筋筋膜経線,医学書院,2021年1月1日

8)由留木裕子/中俣恵美/池辺るり子 他,腰背部痛における胸腰筋膜の関与,関西福祉科学大学総合福祉科学学会,総合福祉科学研究,10 1-7, 2018-11-30

9)伊藤陸/藤本将志/鈴木俊明,基本動作における大殿筋上部線維と下部線維の筋活動について,関西理学療法学会,関西理学療法2017 年 17 巻 p. 33-40

10)村上幸士/齋藤昭彦/永井康一,腰痛の有無にて比較した腹横筋と胸腰筋膜の関連性,日本理学療法士協会,第46回日本理学療法学術大会 抄録集,2011

11)増田一太/篠田光俊/松本祐司 他,若年期における座位時腰痛の考察─臨床所見と重心動揺計を用いた検討─,日本理学療法士協会,第47回日本理学療法学術大会 抄録集,2007
12)齋藤昭彦,体幹機能障害の分析および治療─腰椎の分節安定性─,日本理学療法士協会,理学療法学,2007年22巻1号p.1-6