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がじゅまる整骨院の加藤です。自己紹介【加藤由基】
BC-bodyでは【予防医学】の観点から
いつまでも自分の足で歩き続けることができる身体づくりを提供いたします。
以前の記事で、もも前の筋肉が膝の痛みや変形と関連していることを紹介しました。
今回は【変形性膝関節症-ハムストリングス-】をご紹介したいと思います。
もも裏を鍛えて歩行時の痛みを軽減
【目的】自宅でのハムストリング強化エクササイズを8週間行い、変形性膝関節症(以下:膝OA)患者の歩行時痛や筋断面積、筋輝度の変化を確認すること。¹⁾
本研究の主な知見として、歩行時痛は4週間後から減少し、等尺性最大膝屈曲筋力の増加、半膜様筋の筋断面積の増加、半腱様筋と半膜様筋の筋輝度の減少がみられた。これはハムストリング強化エクササイズが膝 OA患者に対して、歩行時痛軽減に効果がある可能性が示され、仮説を一部支持する結果となった。¹⁾
本研究では歩行時痛が軽減した介入群において膝屈曲筋力の改善が得られた。¹⁾
⇒もも裏の筋肉を鍛えることで、歩く際の痛みが軽減し膝を曲げる力が強くなった
ほぐした後運動をした方が効果が高く、持続した
ASLRの変化率は、MFR-ham群のみ6日後まで、他の2群は4日後まで有意に増加し、6日後のMFR-ham群はMFR群に比べ有意に高かった(表2)。PSLRの変化率は、全ての群で6日後まで有意に増加し、6日後のMFR-ham群の値は他の2群よりも有意に高かった。屈曲トルク値の変化率は、30°と90°ともに、MFR-ham群のみ6日後まで、MFR群は4日後まで有意に増加し、MFR-quad群に有意な変化はみられなかった(表3)。また、6日後のMFR-ham群の値は他の2群よりも有意に高かった。伸展トルク値の変化率は、30°と90°ともに、MFR-quad群のみ6日後まで有意に増加し、MFR-ham群に有意な変化はみられなかった(表 4)。MFR群においては30°では介入後、90°では2日後まで有意に高い値を示した。6日後のMFR-quad群の値は30°でMFR群よりも、また、90°で他の2群よりも有意に高かった。²⁾
ハムストリングスの運動を行った群が最も伸張性および屈曲トルク値の改善が大きく、6日後まで持続した。²⁾
⇒ほぐすだけよりも、ほぐしてから運動をした方が運動の効果が高く・持続した
ストレッチで力が発揮しやすくなる
膝伸展筋力の変化率はコントロール群で95.6±8.7%、他動ストレッチ群で115.2±21.2%、自動ストレッチ群で102.9±10.0%であった。コントロール群と他動ストレッチ群において有意な差を認めた。膝屈曲筋力、SLR角度、殿床距離に関してはいずれも各群間で有意差を認めなかった。³⁾
他動ストレッチ群は週に3回、一日20分(各筋10分)の他動ストレッチを受け、自動ストレッチ群は同条件で自動運動によるストレッチを実施した。対象筋は両群とも大腿直筋とハムストリングスとし、介入期間は 4 週間とした。ストレッチ強度は被験者が強い痛みを感じる直前の心地よい痛みが伴う程度とした。³⁾
本研究結果から、長期的な他動ストレッチにより膝伸展筋力の筋力増強効果が得られることが示唆された。³⁾
⇒筋肉を柔らかくすると、力を発揮しやすくなる
ジャックナイフストレッチング
ジャックナイフストレッチングによりハムストリングスの弾性率が低下することが明らかとなり、FFDの増大および骨盤前傾可動域の増大は、ハムストリングスの弾性低下に起因した可能性が示唆された。⁴⁾
⇒ジャックナイフストレッチングは、もも裏の筋肉を柔らかくする
もも前をさする
軽擦群では、介入後にSLR角度が有意に高値を示し、SLR角度変化量がCON群と比較して有意に大きいことから、ハムストリングス伸張性改善に大腿前面部への軽擦が影響を与えた可能性が考えられる。ハムストリングス伸張性に大腿前面部への軽擦が影響を与えた機序について、大腿四頭筋の上面皮膚を、1秒間に2ストロークするといった比較的速い軽擦刺激が、皮膚受容器(速順応性受容器)を刺激し、同側性伸筋反射(伸筋である大腿四頭筋の興奮)が起こった結果、屈筋であるハムストリングスが抑制され伸張性の改善が得られたのではないかと推察する。⁵⁾
ハムストリングス伸張性低下により膝関節伸展制限を有する患者に対し、ストレッチングや関節可動域運動を中心としたアプローチでは痛みや防御的筋収縮を伴い治療が難渋する場合を多く経験する。しかし、本アプローチは痛みを伴わず関節可動域を改善させる可能性があるという点で臨床的意義がある。⁵⁾
⇒もも前をさすることでも、ハムストリングスが柔らかくなる可能性がある
動きの癖
自動屈曲と歩行における筋活動およびM/L比に相関関係が認められ、非荷重位での筋活動が歩行にも反映されていることが示唆された。我々は、先行研究で下腿外反もしくは外旋アライメントにて歩行時のBF筋活動が高まることを報告したが、下肢アライメントと自動屈曲を評価することで歩行時のM/L比を推測できると考える。また、自動屈曲でのM/L比を調整することは歩行での膝回旋ストレスを軽減する可能性があると考える。⁶⁾
BF:大腿二頭筋,M/L比:内外側ハムストリングス筋活動比
⇒うつ伏せで膝を曲げる動きに癖があると、歩く際にも癖が出やすい
O脚・X脚
Q-angle高値側はLHが優位、Q-angle低値側はMHが優位である例が多く、我々が捉えている臨床のケースと同様の傾向がみられた。MH、LHとも膝屈筋ではあるが膝回旋筋としては拮抗作用を有する。毎日繰り返される歩行でのMH、LH活動にて、筋緊張や筋伸張制限が起きた結果がQ-angleに反映されたと考えた。⁷⁾
⇒O脚・X脚では、内側・外側のハムストリングスのバランスが崩れる
まとめ
今回は【変形性膝関節症-ハムストリングス-】について紹介していきました
・もも裏の筋肉を鍛えることで、歩く際の痛みが軽減し膝を曲げる力が強くなった
・ほぐすだけよりも、ほぐしてから運動をした方が運動の効果が高く・持続した
・O脚・X脚では、内側・外側のハムストリングスのバランスが崩れる
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参考文献
1)平戸大悟,鈴木雄太/小宮諒 他,変形性膝関節症患者の自宅での8週間のハムストリング強化エクササイズが筋断面積および筋輝度に与える変化,広島県理学療法士会,理学療法の臨床と研究2022年32巻1号p.10-14
2)勝又泰貴/竹井仁/堀拓朗 他,筋再教育運動が筋膜リリース後の筋筋膜の伸張性および筋力に与える影響,理学療法科学学会,理学療法科学2016年31巻1号p.99-106
3)野末琢馬/高橋健太/松山友美 他,長期的なストレッチが筋力に及ぼす影響―他動ストレッチと自動ストレッチでの検討―,公益社団法人 日本理学療法士協会,第49回日本理学療法学術大会 抄録集,2014
4)中尾学人/山根裕司/谷口圭吾 他,ジャックナイフストレッチングの即時効果 : 脊柱屈曲可動域およびハムストリングスの弾性率に着目して,札幌医科大学,札幌保健科学雑誌 第8号 13-20(2019)
5)岡泰星/中谷聖史/西川勝矢 他,健常成人のハムストリングス伸張性に大腿前面部への軽擦が与える即時的影響,公益社団法人 日本理学療法士協会,第47回日本理学療法学術大会 抄録集,2012
6)島田周輔/神原雅典/石原剛 他,膝自動運動と歩行との内側・外側ハムストリングス筋活動比の関係─非荷重位での膝自動屈曲および伸展運動と歩行との比較─,公益社団法人 日本理学療法士協会第47回日本理学療法学術大会 抄録集,2012
7)島田周輔/石原剛/加藤彩奈 他,下肢アライメントと歩行での内側・外側ハムストリングス筋活動比の関係 Q-angleと筋電図による活動比の左右関係に着目して,日本理学療法士協会第45回日本理学療法学術大会 抄録集,2010