転倒の恐怖心と膝痛

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がじゅまる整骨院の加藤です。自己紹介【加藤由基】

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今回は【転倒の恐怖心と膝痛】をご紹介したいと思います。

歩行時の膝ぶれと膝痛

最大の前方移動は、男性で65から69歳の男性で7.9mm、70から74歳で8.0mm、75から79歳で8.7mm、80から84歳で9.3mmと加齢と共に増加した。女性も同様で、それぞれ9.1mm、11.1mm、9.7mm、12.0mmであった。男性に比べて女性の動揺量が大きかった。高齢期の膝痛は女性に多いことから、閉経後の関節動揺性の増加が膝痛の発症頻度を高めるのでは無いかと考えられる。¹⁾

⇒年齢が上がるにつれ、膝のぶれが大きくなりやすい

JKOMスコア、基本チェックリストの該当数は、男性では最大前方移動量と有意な相関を認めた(それぞれr=.195, r=.157)。女性においては、基本チェックリストの該当数との関連は有意では有るものの弱かったが、JKOM スコアとの相関はr=.154 であった。¹⁾

⇒歩行時膝のぶれが大きいと痛みが出やすく、日常動作も辛くなりやすい

転倒の恐怖心と膝痛

参加の意思を示した者のうち、要介護認定を受けておらず、本研究の運動機能測定を完遂できた 240名(男性136名、女性104名、平均年齢73.5±5.7歳)を対象とした。本研究の対象者240名のうち117名(48.5%)が転倒恐怖感を有しており、転倒恐怖感を有していない者と比べて、年齢に有意差は認めないものの、CST、歩行速度6分間歩行距離といった運動機能が有意に低下していた。さらに、転倒恐怖感ありの者では、転倒恐怖感なしの者と比較して、女性が多く、LSAは低い値であった。²⁾

⇒74歳でも50%近くの方が転倒の恐怖感を抱いていた

⇒転倒の恐怖感を抱いている人は運動機能がかなり低下し、日常生活に制限がかかりやすい

日本語版mGESアンケートで自己評価をしてみましょう

本研究で作成した日本語版mGESは高い再検査信頼性を示し、バランス、歩行速度下肢機能といった運動機能との有意な関連を認めた。また、日本語版mGESは転倒恐怖感との関連性も強く、日常での歩行状態に対する自信の程度を把握する指標として妥当性を有する評価であることが確認された。²⁾

日本語版mGESは10m歩行速度、TUGの歩行能力と関連し、また膝OA患者の歩行能力に影響を及ぼすことが示唆された。これまで、膝OA患者の歩行能力には疼痛や下肢筋力が関連すると報告されているが、本研究では日本語版mGESが重要であることが示唆された。近年、アンケート紙を用いた患者立脚型評価に注目が集まっており、膝OA患者において日本語版mGESを評価することの臨床的意義を示すことができたと考える。³⁾

⇒アンケートに答えることで、運動機能・転倒の恐怖感・膝痛につながりやすいか気付くことができる

質問項目【日本語版mGES】

質問項目は、床板のような固い平面上、芝生の上、通路の障害物の回避、縁石の上り、縁石の下り、手すりを用いた階段昇降、手すりを用いない階段昇降(昇段と降段は別項目)、長距離歩行(約800m)の10項目の歩行環境条件で構成されている。各質問に対して安全に歩くことができるかを1(まったく自信がない)から10(完全に自信がある)の10段階で回答し、その合計得点(得点範囲:10~100点)を算出して用いた。³⁾

⇒点数が100点に近いほど転倒しづらく、膝痛になりにくい

足踏みと歩行の違い

足踏みでは、VASは重症群 (2.49±2.45mm)が軽症群 (1.29±1.75mm)より大きく、スラストは重症群(-0.07±3.11°)と軽症群(0.52±3.43°)に有意差がなかった。歩行では、VASは重症群 (1.78±2.12mm)と軽症群(1.54±1.78mm)の有意差はなく、スラストは重症群 (2.7±2.53°)が軽症群 (1.53±2.22°)より大きかった。また郡内の比較では、重症群でVASは足踏み (2.49±2.45mm)の方が歩行 (1.78±2.12mm)より大きく、スラストは歩行 (2.7±2.53°)の方が足踏み(-0.07±3.11°)より大きかった。軽症群ではいずれも有意差はみられなかった。⁴⁾

【結論(考察も含む)】足踏みにおいて重症群と軽症群でスラストの有意差はなかったが、VASが重症群で大きくなっており、スラストによる疼痛への影響は少なかったといえる。同様に、歩行においてスラストが重症群で大きかったが、歩行時のVASの増加にはつながらなかった。足踏みは歩行よりも矢状面上の重心移動が少ない動作である。そのため重症群の足踏みは歩行よりも補償戦略をとりづらく、荷重時の膝関節内側コンパートメントへの負荷を分散できずに疼痛が生じやすかった可能性がある。⁴⁾

⇒座った姿勢での足踏みに比べて、歩行時の方が膝のぶれが大きくなりやすい

まとめ

今回は【転倒の恐怖心と膝痛】について紹介していきました

・74歳でも50%近くの方が転倒の恐怖感を抱いていた

・転倒の恐怖感を抱いている人は運動機能がかなり低下し、日常生活に制限がかかりやすい

歩行時膝のぶれが大きいと痛みが出やすく、日常動作も辛くなりやすい

・座った姿勢での足踏みに比べて、歩行時の方が膝のぶれが大きくなりやすい

 

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がじゅまる整骨院院長(加藤由基)

 

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参考文献

1)大渕修一,歩行時の膝動揺性とJKOM得点との関係,日本理学療法士協会,第48回日本理学療法学術大会 抄録集,2013

2)牧迫飛雄馬/島田裕之/吉田大輔 他,日本語版-改訂Gait Efficacy Scaleの信頼性および妥当性,公益社団法人 日本理学療法士協会,理学療法学2013年40巻2号p.87-95

3)廻角侑弥/久保峰鳴/福本貴彦 他,変形性膝関節症患者における歩行能力と自己効力感の関連性の検討,理学療法科学学会,理学療法科学2020年35巻6号p.779-783

4)法貴篤史/岩崎翼/外丸千明 他,変形性膝関節症における歩行と足踏みの違い-スラストと疼痛に着目して-,日本理学療法士協会,第53回日本理学療法学術大会 抄録集,2019