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がじゅまる整骨院の加藤です。自己紹介【加藤由基】
BC-bodyでは【予防医学】の観点から
いつまでも自分の足で歩き続けることができる身体づくりを提供いたします。
前回は【妊娠出産と腰痛~運動が必要?~】についてまとめていきました。
今回は【妊娠出産と腰痛~改善の運動とポイント~】をご紹介したいと思います。
呼吸【ドローイン】
計画的に組み立てられたエクササイズプログラムに、骨盤をニュートラルに保持しながら体幹深部の筋力強化に重点を置いたエクササイズを取り入れることが適切である。¹⁾
⇒体幹のインナーマッスルを鍛える必要がある
腹横筋は腹部引き込み動作で有効な収縮を得られる。²⁾
腹横筋はAB+呼気時、腰部多裂筋はAB時に最も大きな活動がみられた。³⁾
腹横筋に関して、AB+呼気において最も大きな筋活動が認められた。³⁾
AHならびにAHと併用した運動課題中でもAH+呼気が最も高い活動性を示した。しかしながら、AH+呼気とAB+呼気間で優位な差が認められなかったことは、この2条件下では同程度の筋活動が促されたことになる。³⁾
⇒ドローインでもブレーシングでも腹横筋は同じくらい鍛えられる
10秒間の一定持続呼気において呼気中盤より終末にかけ腹横筋、内腹斜筋の肥厚が増加し、外腹斜筋では減少する傾向が見られた。²⁾
呼気を用いた腹横筋活動を促す条件として短時間の呼吸ではなく、一定の持続呼気が有効であることが示唆された。²⁾
⇒通常の呼吸ではインナーマッスルが働きづらいため、深い呼吸を意識的に行う必要がある
お尻の穴をしめる(骨盤底筋群)
病院でも、妊娠中、産後に腰痛を訴える妊婦、褥婦は多い。腰痛は骨盤底筋群を鍛錬することで、予防・緩 和することができる。ヨガ教室では、妊娠中から骨盤底筋群へアプローチを行った。A氏は産後、腰痛に悩まされることなく経過した 。⁴⁾
⇒骨盤底筋群を鍛えることで腰痛が改善しやすい
今回、超音波診断装置を用いて非侵襲的に腹横筋筋厚の評価を行い、筋厚の増加を認めた。増加した要因として、SPHを使用したトレーニングを行ったことにより、骨盤底筋群の収縮に伴い、隣接する腹部筋の収縮が共同筋として働いたことが推測された。⁵⁾
⇒骨盤底筋を鍛えると、腹横筋も鍛えられる
✅お尻の穴をしめることで骨盤底筋群を鍛えましょう!
バリエーション:①タオルを丸めて上に座ります ②丸めたタオルをお尻で挟みお尻の穴をしめます
お腹を触りながら力を入れたり抜いたりすると、硬さの違いを感じることができます。
運動
マタニティ・ヨガにより、妊婦の腰痛が改善する可能性が示唆された。⁶⁾
病院では、出産に向けて「出産しやすい身体作り」を基本にケアがされている。モテアン女性病院はヨガなどマタニティエクササイズの有酸素運動が勧められている。⁷⁾
筋長と筋力を促進するエクササイズによるストレッチングは、妊娠が進むにつれて最大の利益をもたらすだろう(写真 2、3、4、5 )。¹⁾
⇒運動内容としては、マタニティヨガや有酸素運動・筋トレが推奨されている
トレーニング研究により、レジスタンストレーニングと有酸素性トレーニングを合わせて行なうことは、単に有酸素性トレーニングだけを行なうよりも利益が大きいことが示されているため、レジスタンストレーニングを取り入れる必要がある。¹⁾
⇒ウォーキングなど有酸素運動に筋トレを組み合わせるとより効果的
日常的な運動を奨励するとともに、キャットカウ、アーチ&ラウンド、フォワードロールなどの簡単なエクササイズを1、2種目クライアントに提示する。¹⁾
フォームローラーリリースのエクササイズ(写真6)と並んで、スクワットwithローテーション(写真5)のような全身エクササイズを行なうこと、そして1日中良い姿勢を保持することは、妊娠中の腰痛を軽減することに役立つ。¹⁾
⇒体を柔軟に保ち、筋肉を鍛える必要がある
クライアントが横隔膜まで、または胸郭までしっかり呼吸していない場合は、仰臥位、座位、立位のそれぞれの姿勢でどのように呼吸するかを教える。一旦クライアントが改善された呼吸パターンを実践できるようになったら、スクワットやランジ、プライオメトリックスなどのより複雑なエクササイズを用いて呼吸法の手がかりを与え始める。⁸⁾
自体重、フリーウェイト、エクササイズバンドなどを用いて、大筋群をトレーニングすることが重要である(15)。スクワット、ランジ、シーティッドロウまたはスタンディングロウ、トライセップスプルダウンまたはキックバック、バイセップスカールなどのエクササイズを取り入れて、妊娠の進行に伴い順次調整を行なう。¹⁾
⇒体の状態に合わせて運動・負荷の調整が必要
注意点
恥骨結合部と周囲の骨盤周辺を過度にストレッチする運動を制限する。
・第2期には仰臥位での前屈は避ける。
・腹部の円錐状の突出をもたらすエクササイズは避ける。¹⁾
⇒過度に骨盤周りの筋肉をストレッチしたり、お腹に圧をかけすぎない
日常の姿勢と動作も意識しましょう!
物を持ち上げるときの適切な姿勢を教示し、特に、背中を使って持ち上げないように指導する。¹⁾
⇒腰に負担をかけやすい日常動作を避ける
時々姿勢を変えること、座った姿勢から立ち上がること、スクワットを短いセットで行なったり歩き回ったりすることを奨励する。¹⁾
⇒長時間の同じ姿勢は避け、体を動かしましょう
骨盤ベルト・さらし
このように、姿勢アライメントの変化に伴い、骨盤輪由来である仙腸関節や腰背部の腰痛の改善がみられ、一般的な骨盤底筋群の支持力の回復経過よりも早期に腰痛が軽減されることが示唆された。産後の腰痛に対し、骨盤支持を実施することで長期的に残存の可能性がある腰痛が改善または軽減されることが考えられた。⁹⁾
支持群における腰痛の部位別発生は、仙腸関節に次いで腰背部の痛みを訴える者が多いものの、どの腰痛の部位においても経時的にその痛みを訴える者は減少していた。一方、非支持群では、仙腸関節および腰背部の腰痛を訴える者の経時的な減少はみられなかった。⁹⁾
⇒さらしを巻くことで腰痛の改善と慢性化の予防につながる
なぜ?
その骨盤輪の可動性増大による姿勢の不安定性による仙腸関節痛は、仙腸関節上部の姿勢の不安定性を招き、仙腸関節部痛と複合した腰背部の痛みを生じさせると考えられる。⁹⁾
骨盤支持によって、仙腸関節を構成するPSISや仙骨を結合している靭帯の安定化により、アライメントが改善され、仙骨の傾斜が改善されると仙腸関節由来の骨盤性の腰痛が軽減されるされることが示唆された。⁹⁾
⇒さらしを巻くことで、産後腰痛の原因となる骨盤のゆるみを補ってくれる
時期
分娩による骨盤底筋群への負荷もあり、骨盤底筋群の支持力の回復は一般的に産後4~8週後といわれている。本研究においては、支持群では産後2日から産後1か月にかけて腰痛の程度(VAS値)が低下し、さらに非支持群と比較しても有意にその値が低下しており、骨盤支持によって一般的な骨盤底筋群の支持力の回復経過を促進し、早期に腰痛が軽減されることが示唆された。⁹⁾
支持群においては、産後14日から産後1か月では有意にASISの傾斜が有意に減少することで非支持群との差がみられ、立位姿勢保持が安定してきていると考えられる。⁹⁾
ASISの距離は、骨盤支持の有無に関係なく、リラキシンなどのホルモンにより靭帯や筋肉などの軟部組織が弛緩に加え、増大した子宮による骨盤への負荷ため骨盤が開き、出産後において子宮が縮小していく退行性変化とともに出産後1か月にかけて回復していると考えられる。⁹⁾
⇒骨盤の開きが戻るためには1か月ほどかかるが、さらしを巻くことで腰痛の軽減と早期回復につながりやすい
まとめ
今回は【妊娠出産と腰痛~改善の運動とポイント~】について紹介していきました
・有酸素運動と筋トレを習慣的に行いましょう
・体幹のインナーユニットを鍛えるために、ドローインとお尻の穴をしめる骨盤底筋群を意識して使う
・背骨や股関節周囲の筋肉を柔軟に保ちましょう
骨盤の開きが戻るためには1か月ほどかかるが、さらしを巻くことで腰痛の軽減と早期回復につながりやすい
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参考文献
1)Erica Ziel/Katie M. Smith,妊娠中のクライアントのためのトレーニングガイドラインと実践のヒント,NSCA JAPAN Volume 25, Number 5, pages 64-72,2018
2)峰岡哲哉/崎田正博/松木直人 他,持続呼気における腹横筋と腹壁筋群の肥厚変化,九州理学療法士・作業療法士合同学会,2008
3)佐々木祐二/青木光広,健常者を対象とした腰椎安定化のための運動課題の筋電図学的検討,理学療法科学37巻2号p.215-221,2022年
4)荒木麻友子,妊娠・分娩・産褥におけるマタニティ・ヨガの効果 ~事例を通して~,福岡赤十字看護研究会集録 26 9-12, 2012-02-25
5)林田賢也/桑原佑介/呉屋颯志,ストレッチポールひめトレがインナーユニットに及ぼす影響~腹横筋に着目して~,日本理学療法士協会,2016
6)川西康之/Sharon J. B. HANLEY/田端一基 他,妊娠中のヨガ(マタニティ・ヨガ)の有効性に関する文献的考察(システマティック・レビュー),日本公衆衛生学会,日本公衆衛生雑誌 62 (5), 221-231, 2015
7)池田かよ子/李在檍/田惠媛 他,韓国の食・出産文化における妊婦管理と産後ケアの実際,新潟青陵学会,新潟青陵学会誌 7 (1), 63-69, 2014-09
8)Kate Mihevc Edwards,出産後のランナーのための留意点,NSCA JAPAN Volume 27, Number 6, pages 29-36, pages 45-52,2020
9)松岡あやか/兵頭慶子,腰痛のある褥婦への骨盤支持による姿勢アライメントと腰痛の変化について,南九州看護研究誌 Vol. 18 No.1,2020