不良姿勢による肩の痛み

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今月のテーマは【不良姿勢による肩の痛み】についてご紹介させていただきます。

 

肩と胸椎の関係

Individuals with SIS had greater thoracic kyphosis and less active thoracic extension . 1) 

⇒肩峰下インピンジメント症候群を患っている人胸椎後湾が大きく、胸椎伸展可動域が低かった。

肩と背骨(以下胸椎)の関係ですが、肩の土台となる胸椎があります。

手を挙げる動きは肩だけで動くのではなく、胸椎の伸展、つまり、胸を反らす事で手が挙げられます。

肩と猫背

上記の様に手を挙げる動作一つとっても胸椎と連動して行われるため、肩の痛みにだけ注視することはあまり良いとは言えない可能性があります。

胸椎の後湾(猫背)は加齢的な変化や、運動等胸椎をしっかり動かす事が少ないことで関節の不動化などが起こり、肩関節に悪影響を与えます。

若年者と高齢者で手を挙げた時に体幹(背骨)がどう動くかを測定した研究では↓↓↓

若年群では上肢下垂位から最大挙上まで,胸椎後彎角は 12.7°減少したが,高齢群では4.5°の減少であり,高齢群では胸椎伸展運動が制限されていた.3)

とあります。

つまり若年者に比べて高齢者の方が背骨の動きが悪くなっているということです。

 

肩甲骨と猫背

肩甲骨には肩関節を支える沢山の細かい筋肉が付いており、この筋肉たちは腕の骨を支え、肩の様々な動きに対応します。

通常は背骨と平行してついているのですが、胸椎後湾(猫背)になると肩甲骨は背骨から離れていってしまします。

subacromial impingement syndrome without rotator-cuff tears, most kinematic studies showed a small superior humeral translation relative to the glenoid and decreased scapular lateral rotation and posterior tilt.4)

⇒回旋腱板断裂のない肩甲骨下インピンジメント症候群の患者の場合、ほとんどの運動学的研究では、関節窩に比べて上腕骨の並進が小さく、肩甲骨の回旋と後方傾斜が減少していることが示されました。

つまり肩を痛めている人の多くは肩甲骨の位置も悪くなっている可能性があります。

まとめ

今回は【不良姿勢による肩の痛み】についてご紹介しました。

①肩の動きは胸椎も関係する

②胸椎を動かさないと固まり、動きが悪くなる

③肩甲骨は正しい位置に収めることが大切

次回は【不良姿勢による肩の痛みの原因】についてご紹介させていただきます!

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参考文献

1)Hunter DJ, Rivett DA, McKeirnan S, Smith L, Snodgrass SJ. Relationship Between Shoulder Impingement Syndrome and Thoracic Posture. Phys Ther. 2020 Apr 17;100(4):677-686. doi: 10.1093/ptj/pzz182. PMID: 31825488.

2)Ludewig PM, Reynolds JF. The association of scapular kinematics and glenohumeral joint pathologies. J Orthop Sports Phys Ther. 2009 Feb;39(2):90-104. doi: 10.2519/jospt.2009.2808. PMID: 19194022; PMCID: PMC2730194.

3)上田 泰之, 浦辺 幸夫, 大林 弘宗, 山口 織江, 若年者と高齢者における上肢挙上時の体幹アライメントの違い, 体力科学, 2008, 57 巻, 4 号, p. 485-490

4)Lefèvre-Colau MM, Nguyen C, Palazzo C, Srour F, Paris G, Vuillemin V, Poiraudeau S, Roby-Brami A, Roren A. Kinematic patterns in normal and degenerative shoulders. Part II: Review of 3-D scapular kinematic patterns in patients with shoulder pain, and clinical implications. Ann Phys Rehabil Med. 2018 Jan;61(1):46-53. doi: 10.1016/j.rehab.2017.09.002. Epub 2017 Oct 5. PMID: 28987866.